『消費される階級』という本を読みました。
この本の『はじめに』に書かれた「違い」と「差」に関する記述が興味をかきたてられます。
「違い」は肯定的だけど「差」は是正すべきイメージがあると書いてあります。なるほど、そういわれてみると確かに「差」がつく言葉に良いイメージはありません。
「人種差別」や「格差社会」とか。
一億総中流時代はとっくの昔に終わり、今は新自由主義が進んで、ますます経済格差が広がっています。だから人々は少しでも不公平があると許せません。
現在は世の中全て「正しさ」が求められるようになりました。SNSも正義が大流行しています。
ポリティカル・コレクトネスという言葉をこの本で知りました。意味は「政治的正しさ」「差別的な表現を正す」「偏見差別を含まない中立的立場」等です。
略してポリ・コレです。例えば「看護婦」⇒「看護師」「母子手帳」⇒「親子手帳」「痴呆症」⇒「認知症」と呼び名が変わりました。
SDGsについても、なんとなく言葉は聞いたことあったけど、深く理解はしていません。
「持続可能な開発目標」には、17の目標があり、ざっくり言うと、全ての不平等・上下差を無くし、より高みへ、みんな横並びで目指すという考えでした。
平等社会を訴えるためには、上下差をつけたい欲望を隠さなくてはなりません。
この本の著者:酒井順子さんは、上下差を「階級」とし、今の時代を「違いを認め合い、すべての人が横並びで生きる」という難題に挑戦しようとしていると書いています。
私の話しをさせてください。
私が初めて就職して一番驚いたのが、会社の男性が「若い若い」と、驚いてくれる事でした。挨拶回り中何度も「若いね」「何年生まれ?」「うわー信じられない」と言われました。
暗黒の中高時代(不登校気味で春休みも学校へ行きやっと卒業という有様)には考えられないモテモテぶりに、多分この時に若さに価値があることを知りました。
いつしか目元に小じわのある女性を「気の毒」と思うほど、勘違いしていました。自分だって同じように年をとるのに、どうかしていたんですかね。恥ずかしいかぎりです。
本当に「若さ」というのは傲慢です。
以前、会社で仕事をしているとき、パソコンの操作で分からない事があり、若い女性に聞きました。するとその女性は「こんなことも知らないんですか~」と一言。
彼女は私を気の毒なおばさんと思ったことでしょう。でも、いずれ彼女もおばさんになることを知っているので、それほど腹も立ちません。
私もいつの間にか年齢差別を受ける側になりました。
少子高齢化になったからには、90代80代70代の先輩達も大勢います。なかなか古い価値観から抜け出せない人もいます。
そういう層がうっかり差別発言をして、デジタルネイティブ世代から「老害」と言われバッシングを受ける状況が、これから何度も繰り返されると思います。
自分がそう言われないように、意識をアップデートしていかないといけないと思います。
この本では21種類の階級が登場します。
全部のページが面白くて納得できるのですが、とりあえす1つ選びました。「まぶた差別と日韓問題」です。
日本人女性は多くの人が二重になりたがるけど、私は大きな目も良いけど、細い目や小さい目のほうがチャーミングだとずっと前から思っていました。小さい目に思い切りアイシャドウや睫毛を付けると、とってもコケティッシュです。お化粧しなくても小さな目はかわいいです。
海外旅行先で金髪イケメンの彼女が、平安時代の絵の様なお顔で、切れ長にアイラインを引いているのを見たことがあります。髪の毛は黒々と太くてしっかりしたロングヘア。アジアンビューティーを堂々と表現していました。
この「まぶた差別と日韓問題」では、一重まぶたについての日韓の違いを書いています。日本では主役はほぼ二重まぶたですが、韓国エンタメは一重の魅力に気付いていたみたいで、韓国ドラマは一重まぶたの俳優、特に女性俳優を重用していると書いてあります。韓国スターが一重まぶたで世界進出を果たしているのだから、日本も二重信仰を捨ててもいいのでは、と酒井さんは提案しています。私もこの提案に大賛成です。この前観た日仏合作アニメの女の子の目もほどほど適度なサイズ感。日本人は細くて小さな目にもっと自信を持ちましょうよ。
最近は新しい言葉が分からなくなってきました。世の中が変わってきたのを、新しいカタカナで実感します。
この本は、薄々感じていた格差を「実際こうなんです」と改めて示してくれた気がします。
著 者:酒井 順子
発行所:株式会社集英社
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