主人公は卓(森山未來さん)、この方の演技は本当に自然です。どんな役でもピタリとはまる気がします。父親役の藤竜也さんも様々なお年寄り役をされています。でも、ほのかに色気が、ただの老人じゃないって感じです。
今回は結婚しても以前好きだった人が忘れられず、熱い情熱をもって思いを成し遂げた元大学教授の役です。お互いに恋心を抱きつつ違う相手と結婚してしまったのに、離婚して再婚し、ようやく結ばれたのでした。
そのお相手になる人が直美(原日出子さん)、お年を召されても可愛らしく、父親の陽二がどれだけ恋焦がれたか分かります。
あらすじは、父親が事件を起こし息子の卓が警察まで迎えにいきます。2人が会うのは約30年ぶり。かつて母と自分を捨てた父親ですから卓の思いは複雑です。自宅に戻りますが家の中は雑然とし、義母の姿が見つかりません。携帯電話を置きっぱなしにし、行方が分からなくなっていました。
現在と過去が交互に現れ、それぞれの生活ぶりが描かれます。
陽二が認知症を発症してから、直美は大分苦労した様子です。でも、姿を消す理由が私にはよく分からないのです。
直美は昔の日記を残していました。それには陽二に対する恋心が切々と書かれ、そのページの上に陽二からの古いラブレターが貼り付けられています。
卓は義母の直美を探しますが、親戚を訪ねても居場所を教えてくれず何かを隠している様子。
そこで姿を消した理由を考えてみました。
1. 陽二のお世話に疲れた。
2. 陽二のことが好きなあまり別人のようになっていく様子に耐えられなかった。
3. 陽二が自分(直美)の事が分からなくなってショックを受けた。
4. 陽二が突然怒りだし(認知症あるある)これからもキレたらいやなので早めに逃げた。
5. 陽二を捨てて自分の人生を生きたくなった。
6. 直美が海に向かって歩いていくシーンがあったので、自死した。
一緒に観た夫は、1.のお世話に疲れて出て行ったのではないかと言いますが、私には本当に分かりませんでした。
いくら欠点だらけでも、しょっちゅういやな気分にさせられても、かつて好きだった人のお世話はしてあげたいと思うのですが、私が甘いのでしょうか。
私の父親が末期癌で入院中、母が「早く死ねばいいのに」と言ったことを聞いたことがあります。その時は2人で毎日仕事帰りに病院に行っていたので、母も疲れていたのでしょう。
でも、実際死んでしまったら「淋しい」と泣いていました。
誰かが口コミで「本当の認知症はあんなもんじゃない」と書いていました。幸いなことに私の身内にそこまでの人がいなかったので、私にはその大変さがよく分かりません。
この映画のテーマは認知症ではありませんが、そんな事ばかり書いてしまうというのは、高齢の母と義母がいる私のせいです。
敬語で話す父親が、息子と本当の親子らしさを取り戻せたらいいなと思います。
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#映画 #大いなる不在 #森山未來 #藤竜也