映画「Viva Niki タロット・ガーデンへの道」20世紀を代表するアーティストのドキュメンタリー。 ナレーションは小泉今日子さんです。

映画

現代アートに興味はありますか?
私はあまり詳しくないのですが、日本人では、奈良美智さん村上隆さん草間彌生さん等が人気ありますよね。
私が好きなのは、草間彌生さんと三沢厚彦さん。

海外に目を移すと、アンディ・ウォーホル、キース・へリング、ジャン=ミシェル・バスキア、最近はバンクシーとかが有名ですね。

今回私が観た映画はニキ・ド・サンファルさんが主人公のドキュメンタリーです。そして監督は写真家の松本路子さん。

本当に失礼なのですが、私はニキさんも松本さんも存じ上げず、今回の映画で初めて知ったという次第です。ニキさん、松本さん、私の勉強不足で大変申し訳ございません。
アートが好きって言っていた自分が恥ずかしいです。もっと精進いたします。

ここから、映画の内容になります。

20世紀を代表するフランス生まれのアーティスト、ニキ・ド・サンファル(1930~2002)さんは、フランス貴族の娘として誕生しました。
若い頃のアートは結構過激です。「芸術表現による自己解放」として壁に立てかけたレリーフに絵の具やペンキをライフルでぶっ放し、「射撃絵画」と名付けました。
女性としての様々な困難への怒りをぶつけるという意味です。

その後心境の変化があったのでしょうか。射撃絵画のあと、女達に課せられた役割を身体に貼り付けたオブジェで、女であることを肯定しながら苦悩するという作品を数多く残しています。

1960年代になると、ナナというカラフルで開放的な女性像を創り始めます。怒りだけでは物事解決しませんもんね。
「ナナ」シリーズと称し、段々と巨大化し、遊びの部分が多くなります。さらに胸とお尻が巨大化していきます。

大きなナナは世界中の公園に置かれるようになり、ナナの中に人が住めるようにもなります。そこに泊まったキース・ヘリングさんは窓から差し込む月の光に感激し、階段の壁一面に自分のアートを残しています。もちろんニキの許可をもらってですが。
巨大化したナナは、スウェーデン、ベルギー、ドイツ、パリに設置されています。

タロット・ガーデンについて。

やがて1978年から20年をかけて、イタリアのトスカーナ地方に、タロット・ガーデンを建築します。
20代の頃、スペインでアントニ・ガウディのグエル公園を見て、いつか自分の自分の彫刻で公園を造りたいと思い続けていたそうです。スペインのグエル公園とサグラダファミリアも私の行きたい所の1つ。死ぬ前に是非とも行きたい場所です。
タロット・ガーデンは大アルカナ22枚をモチーフにしたそうです。タロットカードについては全く知らないので、この映画を観て本屋に見に行ってしまいました。タロットカードの意味を知ろうと思ったのですが、買うかどうしようか今のところ迷っています。
本人は「女帝」を意味する建物に7年間住んでいましたそうです。
1998年に一般公開しています。一度見てみたいですが、イタリアは遠くて。でも、ヘンテコ(芸術作品にすみません)が好きな私。死ぬまでに訪れてみたいものです。

公式サイト https://ilgiardinodeitarocchi.it 興味のある方見てください。

監督を務めた松本路子さん(1950年~)について。

彼女は、オノ・ヨーコ、草間彌生、ビナ・バウシュをはじめ世界で活躍する女性アーティストのポートレイトを撮影してきました。
最初の個展は「オノ・ヨーコ・イン・ニューヨーク」です。訪れた国はなんと60カ国にわたるという凄い方です。

今回、映画制作に挑んだのは、ニキ・ド・サンファルさんとだけ10年以上交流を続け、ニキの繊細でなおかつ自由な遊び心に魅せられたから、と答えています。

松本さんがニキさんに初めて会ったのは1981年。ニキに魅せられた松本さんは10年にわたり彼女を追い続け、映画まで作ってしまいました。

松本さんは撮影、構成、脚本と、ニキにゆかりのある8人にインタビューしています。
そのうちの一人は日本人の上野千鶴子さんです。内容は忘れてしまいましたが、上野さんとニキさんはフェミニズムで接点があったようです。

松本さんは1950年生まれ。人生でやり残した事は何かと考え始めたら、ニキ・ド・サンファルさんのことを考えたそうです。それがこの映画の出発点になり、2018年に撮影を開始したそうです。

写真が好きな方ならご存じだとおもいますが、何冊も写真集を発売し、たくさんの写真展を開催し、世界中の美術館に作品が収蔵されています。

日本にもこの方のアート作品はいくつかあることを知りました。

日本で見ることができるニキ作品
東京都立川市   ファーレ立川アート        「会話」
神奈川県箱根町  彫刻の森美術館          「ミス・ブラックパワー」
東京都多摩市   ベネッセホールディングス東京本部 「恋する大島」「蛇の木」
香川県直島町   ベネッセアートサイト直島     「ベンチ」「像」「猫」「ラクダ」「会話」     
岡山県岡山市   ベネッセ南方本社         「アダムとイブの選択」「世界」
福岡県福岡市   地行中央公園           「大きな愛の鳥」
三重県津市    三重県総合文化センター      「大いなる節制」

映画で紹介されていたのは、彫刻の森の「ミス・ブラックパワー」です。
カラフルな服を着た巨大な胸とお尻の大きな黒人女性の彫刻。生きることへのエネルギーに満ちあふれているようです。
著作権のことよくわからないので、写真を載せるのは控えますが、お近くにお住みの方は「コレがニキ作品か」と見に行ってみてください。同調圧力を求められる世の中に、こんなに自由な発想を私は憧れます。

ニキさんは2002年にお亡くなりになりましたが、娘さんとお孫さんとひ孫さんが後を引き継ぎ、たくさんの作品を守っています。

音楽はクラシックのほか、挿入歌として『 NANA 』をカヒミ・カリィさんが歌っています。公式HPで「タロット・ガーデンは理想郷」とコメントしています。

ナレーションは小泉今日子さん。エンディング曲『 Viva Niki 』も黒猫同盟というユニット(上田ケンジさんと小泉今日子さん)が歌っています。「悲しみや怒りを乗り越えて、自由で大胆だけど慈愛に満ちた作風に」とコメントしています。歌は小泉さんの笑い声から始まるおかしな歌です。

上映館が少ないのが残念ですが、映画を観なくてもニキ・ド・サンファルさんの名前を知ってもらえたら、いつか作品に出会えるでしょう。

なんでこのドキュメンタリーを見ようと思ったかは、映画館に貼ってあったポスターを見たからです。岡本太郎さんの太陽の塔のようなヘンな彫刻のポスターです。


若い時は他人と違うと思われることが死ぬほど辛かったのに、余命を生きている私は変わってるとか言われ全然全然平気。辛いのは体調不良と仕事覚えの悪さだけです。
若い方々、年を取るのも悪くないですよ。

↑パンフレットの表紙とタロットガーデンのオブジェたちです。

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