戦国時代、「本能寺の変」をテーマに次々と人が死ぬ映画です。
なんと人の命の軽いことか。当たり前のように殺し合い、裏切り、暗殺、ちっとも悲しくありません。
まず織田信長(加瀬亮)が狂っています。織田信長は自身の跡目を餌に、敵の首全員切ってしまえと叫び、その通り敵の一族を皆殺しにします。
家臣を「ハゲ」「たわけ」と罵倒し、血だらけにして蹴り飛ばします。あのくらい狂っていないと戦国時代にリーダーシップをとって生きていけなかったのでしょうか。
殺戮しながら笑えるシーンもふんだんにあります。バイオレンスと笑いが同時進行で進みます。
羽柴秀吉(ビートたけし)と弟の羽柴秀長(大森南朋)、黒田官兵衛(浅野忠信)の三人の会話はアドリブが多かったようで、
延々とどうでもいい会話をしています。時代劇っぽく無いのですが、自然でなんともおかしみがあります。
徳川家康(小林薫)と家臣達が敵地の中から逃げるという、伊賀越えのシーンもとても笑えます。
森の中を影武者に立派な羽織を着せて自分は家臣に扮装し逃げるのですが、影武者は顔面蒼白です。
影武者は真っ先に狙われ殺されて、その都度家臣の中から新たな影武者を用意します。
気の毒な影武者達の度顔面蒼白度は増していき、ギロチン台を目の前にした囚人のようです。
家康だけが無表情で素知らぬ顔です。
敗れた毛利軍の備中高松城主、清水宗治(荒川良々)が切腹をするシーンでは、船上で一差し舞を披露し儀式的に行うのですが、
それを見学している秀吉が「早く終わんねーかなー」とイライラしながら言います。
たしかに長いのですが、武士にとっては最後の切腹も見せ場のはず。百姓上がりの秀吉との対比がここでいきてきます。
明智光秀(西島秀俊)の首を切り落とし、陣地に持ち込むシーンでは、首を切り過ぎてどれが誰の首か分からなくなっています。
首だらけの状態です。戦場では首なし死体が累々です。おぞましいのですが、見ている私もなんだか慣れてきました。
泥と血にまみれた首を1つ1つ水で洗い、これは誰だと判別しなくてはならないのですが、
首が山ほどありすぎてイライラした秀吉は間違えて光秀の首をサッカーボールのように蹴り落してしまいます。
武士に憧れる農民達も登場します。茂助(中村獅童)と為三(津田寛治)、なんとも健気に大軍を追いかけ戦に加わり手柄をあげようとします。
茂助は一途に自分が武士になれると信じて疑いません。とても純朴でかわいらしいです。生き延びて~!と願っていましたが、やっぱり命を落します。
追いかけるのは男達だけではなく、売春婦達も戦の列を走って追いかけます。女も命がけです。
元甲賀忍者の芸人、曽呂利新左衛門(木村祐一)が狂言回し的な存在で登場しますが、最後まで生き残ると思わせつつ終盤に呆気なく死んでしまいます。
木村祐一さんの演技も印象的で名だたる俳優達にひけをとりません。
幽霊の寿命は400年と聞いた事があります。つわものどもの皆さん、無事に成仏できましたか~!?
#映画 #首 #ビートたけし