メキシコ映画を観ました。事実に基づいた物語で、メキシコでは年間No.1のヒットを記録したそうです。数学で国内最高点を取った生徒が雑誌に取り上げられ、その記事から映画化が決まったそうです。
ただその生徒だけにスポットが当たっている映画ではなく、ユニークな教育を実践した先生やその他の生徒やその環境も描かれています。
2011年のこと。国境近くの治安の悪さに慣れきった町の小学校に新任教師が赴任してきます。犯罪や殺人が身近にあり、警察の黄色い規制線のテープが貼られた脇を子どもたちが登下校しています。
男子生徒のニコは兄のようにギャングになりたいと考えていますが、まだ早いと兄に止められています。女子生徒のルペは家に帰ると幼い弟と妹の面倒をみています。母親は夜働いていますがお腹に新しい命が宿っていて、子守は当分続けなければなりません。もう1人の女子生徒パロマは廃品回収をしている父親と貧しい生活の中で、いつもゴミ山のてっぺんで何かを探しています。教師も子どもたちもみんな学力最底辺校という不名誉に甘んじています。
新任教師のフアレスが赴任してきました。生徒たちが教室に入ると、フアレスは教室の真ん中で「早く来てくれ。これは救命ボートだ。どのボートにも乗れる人数は同じ、乗れない人は溺れる、君たちは23人でボートは6つ、さぁどうする?」と言います。戸惑う生徒たちです。
答える前に新たな疑問が浮かびます。なぜ船は浮いたり沈んだりするの?
インターネットで調べたいところですが、学校にパソコンはありません。図書室に行き百科事典で調べますが、納得のいく答えは見つかりません。
先生と校長先生だとどっちが密度が大きい?
太った人とマッチョでは?
と、太った校長先生も巻き込んでいきます。
何を学ぶか生徒自身に決めさせる勉強法は次第に生徒たちの瞳を輝かせていきました。
フアレスはこの学校に赴任する前は普通の授業をする先生でした。だけど限界を感じて悩んでいた時目にした動画からヒントを得て、自己学習法というような新たな試み(正式名称は分かりません)を実践することになります。ここはそんなに映画では描かれていません。子どもたちの学校と生活が中心です。
ルペは哲学に興味を持ち始め、大学の図書室で本を借りて読みふけるようになり、将来は先生になりたいと考えます。ニコは兄から麻薬密売の仕事に誘われますが「もう少し学校に通いたい」と伝えます。パロマは数学について天才的な才能を持っていることと、将来は「宇宙飛行士になりたい」という夢を持っていることをフアレスは知ります。でも、それぞれ家庭の事情で将来の夢を持つことを制限されています。
メキシコの教育制度はよく知りませんが、「ENLACE」という共通テストを受けることが義務づけられているようです。このテストはとても重要なテストのようです。
テストまで2週間の時、フアレスをよく思わない一部の先生から試験勉強をさせていないと教育委員へ密告され、2週間の停職処分を受けます。更に生徒の悲劇も起ります。
やがてテストの日がやってきて。。。
テストの結果が発表されます。学校は全国平均を上回る成績結果を残し、10人が全国上位0.1%のトップクラスに食い込み、パロマは国内最高位の成績を収めます。
パロマは奨学金を得て勉強を続けることになりますが、そうならない生徒がいることも現実です。
フアレスとパロマは実在しますが、ニコとルペはこの映画のために作られた人物で、勉強を続けられない運命にあります。小学校の外からなかを覗くひとりの少年がいます。どうも学校に通えない境遇の様子で胸が締め付けられます。
カリキュラム通りの授業をしないけど生徒の目をキラキラさせた先生が罰を受けたり、勉強したくても家庭の都合で勉強を続けられなかったり、理不尽だらけの人生です。
教育とはどんなものかと考えさせられます。
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#メキシコ映画 #型破りな教室 #実話