映画「片思い世界」広瀬すずさんと杉咲花さんと清原果耶さんのトリプル主演。少し違う世界で健気に生活しているけど、透明人間のような存在が悲しい。

映画

小学生の女の子がノートに何か夢中になって書き物をしています。背中あわせに男の子がピアノを弾いています。
女の子が書いているのは、「音楽げき 王妃アグリッピナの片思い」という台本。台詞を口にしながら書いていきますが、レベルが高く10才の子が書ける内容ではありません。きっと才能豊かな子なのでしょう。将来が楽しみです。
お腹がすいてグーとなってしまいますが、我慢して書き進めます。
やがて完成して振り向くと、ピアノを弾いていた男の子がいません。
男の子を探して見回しますが、合唱が始まるため、とりあえず移動します。

これは、美咲の児童合唱団での思い出です。

やがて年月が経ち、美咲(広瀬すずさん)、優花(杉咲花さん)、さくら(清原果耶さん)の3人は郊外の古い一軒家で、共同生活を送っています。

天井や壁にはたいさんの小物が飾られ、何年もかけてコツコツと趣味に合ったものを集めてきたのでしょう。

寝るときも同じ部屋にベッドを3つ置き、可愛い物達に守られながら寝起きしていています。

毎朝が賑やかです。一緒に朝ご飯を食べ、一緒に家を出て、美咲は会社へ、優花は大学へ、さくらは水族館のアルバイトへ向かいます。

でも、どこか変なことに気がつきます。美咲がオフィス街で人とぶつかりそうになると、セロファンの型紙のようにスルリと地面に落ちていきます。オフィスで仕事していますが、違う場面になると美咲の姿はなく仕事の形跡もなく、最初から存在すらしていません。

優花も大学で授業を受けていますが、他人から見えていません。前から配られるプリントは優花を飛ばして後ろに配られます。さくらも水族館で働いていますが、その姿を他の職員も水族館に来たお客さんも見ることは出来ません。

あぁ、彼女たちはこの世に存在していないのだな、と気付きます。他人から見えない3人は、彼女たちからも手出しできない存在でした。だから「片思い世界」なのだと納得します。

やがて児童合唱団での事件が明かされます。

そして、3人は思いを伝えようと行動を起こします。

美咲はよく見かける青年に片思いしていますが、その青年が児童合唱団でピアノを弾いていた少年、典真だと知ります。だけど事件が原因でピアノを辞めていました。
典真役を横浜流星さんが演じています。苦悩する役は横浜さんにとてもはまります。

優花は自分の母親が再婚して子どもも産まれた事に動揺しています。

さくらは自分たちを殺した犯人が出所したことを週刊誌で知り、出版社に忍び込み現在の職場をつきとめます。それから3人で会いにいきます。

3人の決着の付け方が、本当にこれで良かったという気持ちになり、安堵します。典真が美咲の残した音楽劇のノートを発見したシーンは、久しぶりに泣きました。

クライマックスでは3人が同じ装いをして当時の児童合唱団と同じステージに立ちます。ピアノの伴奏は横浜流星さんです。細くて長い指がきれいです。彼も長い間苦しみを抱えていましたが、じきに立ち直ってゆくでしょう。

脚本は坂元裕二さん。テレビドラマの「カルテット」「大豆田とわ子と三人の元夫」はすごく面白かったです。ラジオDJ役で松田龍平さんが声だけ出演されています。私は松田龍平さんのファンなので、お姿少し拝見したかったです。
監督は土井裕泰さんです。2017年の「罪の声」もいい映画でした。特に宇野祥平さんの役が、絶望から次第に生きる喜びを見いだしていく様子に感動しました。

この映画の最後、3人が家を出て行きますが、まだ子どもだった3人が凍えた様子でおにぎりを食べてる回想シーンもあってか、大丈夫だろうかと心配になります。でも、3人が楽しそうなので次のステージに行くんだなと思います。今もじわじわ思い出す、いい映画でした。

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