「ハンチバック」を読んで

文学界新人賞と芥川賞を受賞した市川沙央さんの「ハンチバック」、7月に読んだのですが、なかなかブログに書く自信が無く、とうとう11月になってしまいました。

なにか畏れのようなものを感じて、私のような素人がこの本の感想など書いていいのかと思ってしまったのですが、自分も何か表現したいような欲があり今回書くことにしました。

重度障害者の主人公のしんどい日常が描かれ、つい健常者ですみませんという気持ちになってしまいます。

唐突エロから始まり面食らうのですが、主人公はバイトで風俗的な記事を書いています。

主人公は心の中で悪態つきまくり思った事をTwitterにツイートします。これでバランスがとれているような気がして、私は勝手に安堵してしまいますが、彼女は「妊娠と中絶がしてみたい」とTwitterに願います。「普通の人間の女にように子どもを宿して中絶するのが私の夢です」ともツイートします。

悪態をつきながらも生を望む主人公に切ない気持ちにさせられます。

そんな時、男が共犯者のように現れるのですが、たくらみは失敗します。

彼女は「もし生まれ変わったら高級娼婦になりたい」とも願います。

場面は変わり主人公は風俗嬢です。高級かどうかは分かりません。不幸な身の上を語って同情を引きお客のNNに応じ、いつかの夢を叶えようします。

夢を叶えるのは現実の自分ではなく、生まれ変わりの自分か、こたつ記事の自分か、マルチバースの自分か分かりまませんが、妊娠の予感で終わります。

常に死を感じているからか宗教の香りが漂います。

涅槃、蓮の花のワードが何度か登場し、聖書の一節がよりこの本をより高みに上げているような気がします。

#ハンチバック #市川沙央