黒沢清監督の1998年同名の映画をセルフリメイクした作品です。主演は柴咲コウさん。舞台はフランスなので会話もフランス語です。
柴咲コウさんが演じる新島小夜子はパリの病院で働く精神科医です。
小夜子は自分の娘が子どもの臓器売買をする財団に拉致されて殺されたアルベール(ダミアン・ボナール)に協力し、一緒に真犯人を捜し復讐するというのがこの映画の内容です。
アルベールは単純な復讐者なのですが、小夜子は感情を表わさず、何を考えているのかさっぱり分かりません。一応医者なので、患者には耳に心地よい事をいいますが、全く感情が伝わってきません。
2人は1人目の犯人を捕まえ廃墟に監禁しますが、本人は全くの誤解で何も知らないと言います。手足を鎖でつなぎトイレにも行かせません。食事は与えるふりをして、地面にわざと落します。
そしてホースで水をかけます。拷問です。
娘の動画を見せ、検視報告書らしき文章を繰り返し聞かせます。良心の呵責に訴える作戦でしょう。
そして2人目を同じ方法で拉致し、また鎖でつなぎ同じ事をします。拉致された人はもちろん自分は知らないと言います。証拠もないのにあいつに違いないと推測で捕まえてきます。
程なくして小夜子は、アルベールに内緒で2人に「アルベールには嫌気がさしてきた。もう終わらせたいから新犯人をでっち上げて」と言います。
捕まっている2人は相談し「あいつがいい」と別の名前をあげ、「財団の警備をしていた男が犯人だ」とアルベールに言います。
そして、3人目を捕まえて同じように鎖につなぎます。3人目も小夜子にそそのかされて「本当の警備の男を知っている。そいつは財団のアジトにいる」と言い出します。
小夜子はアルベールに協力しているように見せかけて、自分が主導権を握っています。1人の男に「あんたは蛇の目をしている」と言われます。
夫とは別居中で、時々パソコンの画面越しに会ったりしています。でも、わざとパソコンの裏に立ち顔を見せないような意地悪をしたり、「このぐらいの距離がちょうどいいね」と呼びかける夫に何も答えなず無言を貫いたりします。
この事に何の意味があるのか、もしかしたら過去に何かあったのかもしれません。
3人目の男の協力のもと、敵のアジトを見つけます。
実際にそこには多くの子どもたちがいて、アルベールの妻がいました。アルベールの妻は財団の仕事を継承していたのです。でも、そんなに悪の組織には見えないのが不思議で、怯える子ども達はアルベールの妻の背中に隠れます。まるで慈善事業をしているみたいに存在しているのです。私の頭はすごく混乱してきます。アルベールは妻を殺し、これで復讐は終わりました。
でも、今度はアルベールが背後から「あんたが一番嫌いなのよ!」と殴られ、小夜子に監禁されてしまいます。
壁には先に監禁した男たち、3人の死体が壁を背に座らされていますが、目を見開き口を開け、とっても間抜けな顔をしています。わざと間抜けな顔をするように黒沢清監督は演出したのでしょうか。
一瞬、これはコメディーかと思いました。
それは小夜子の意外な一言で終わります。どうもアルベールも財団の仕事に多少関わっており、それは小夜子の夫も同様です。
詳細な部分は描かれていないので、小夜子の言葉全てを信じていいのか分からないのですが、夫に冷たい態度をとるのもそれが関係していたのかもしれません。
たくさんの疑問が残る映画ですが、アジア人の柴咲コウさんがフランス人男性を翻弄する。これが見所かもしれません。
西島秀俊さんがアクセント的に、パリ駐在の日本人患者という役で出演しています。
復讐ものは大抵、敵を成敗してスッキリ終わるものですが、全くスッキリ感は無く、むしろ後味が悪いです。もやっとします。
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