最近の話し
年下の同僚から数日にわたり罵詈雑言のラインが何通も送られてきました。原因は「誤解」なのですが、あまりにもひどい内容でいい年して泣いてしまいました。
社内では大人しくて何もしゃべらないのに、ラインだとものすごい語彙力で、おまけに攻撃的です。取りあえず謝罪のラインを送りましたが、満足出来ないようでさらに攻撃的な文面を送りつけてきます。
以前も彼女は私の上司に「あなたにパワハラを受けた」と長文を送り、メンタルを壊し(現在休職中)、次は私がターゲットになりました。
怖いのでスマホの電話とラインをブロックし、彼女の上司に相談し顔を合わせなくていいようにシフトを変更してもらいました。
一見守ってあげたくなるようなか弱い外見です。電話も小さな声でしゃべります。それなのになぜラインだと強い口調で攻撃できるのか謎です。治りかけたパニック障害も再び動悸がして薬を飲んでいます。月末に仕事の都合上どうしても顔を合わせなくてはなりませんが、その日はもう休むことにします。逃げます!
以前からいつも上から目線のライン。人前では大人しいのに、ラインだと強くなるのはなぜ?
今まで我慢してけど、限界超えました。恐怖です。
雨の中、スニーカーを濡らしながら帰宅途中に思わず「死んで虫にでも生まれ変わりたい」とつい考えてしまいました。祖母がよく言っていました。「生きてる人間が一番怖い」って。
暴力 人種 性別
たまには純文学を読もうと芥川賞受賞作「デートピア」と「ゲーテはすべてを言った」の2冊を買いました。
「デートピア」本の帯には「ひとりの女を巡り、世界各国10人の男たちが繰り広げる恋愛サバイバル」と書かれています。
男性たちは世界各国の9人のイケメンと、日本人1人の計10人が参加し、白人金髪のミスユニバース1人を奪い合います。その動画は編集されて世界に配信されます。
場所はフランス領ポリネシアのボラ・ボラ島のリゾート地です。「1966年から1996年の間、フランス政府はここで核実験を約200回行いました。」と最初のプチ企画で現地従業員マルセルが案内します。
どうも語り手が誰なのか分かりません。Mr.東京を「おまえ」と呼びます。途中で分かるかなと思いつつ読みすすめました。
簡単なルールがありますが、ミスユニバースはそのルールをすぐに崩壊させます。時間を無駄にしたくないとの理由で全員とビーチのベッドでセックス。もちろんTVではぼかしが入ります。ものすごい度胸の女です。現地従業員のマルセルとも関係を結んでしまいます。皆に自分達以外とセックスしたことを問い詰められると、ミスユニバースは腕組みしながら「ここには黒人がいないから」と言います。ポリネシア人は人は黒人ではなくモンゴロイドです。ミスユニバースの適当な言い訳っぽいですが、問題提起のような気もします。マルセルは白人の血も混ざっています。
2024年の娯楽のトレンドは、『白人による白人のための懺悔ショーだから』と、著者の安藤ホセさんは上手いこと書きます。ヒットした映画は「バービー」「オッペンハイマー」「哀れなるものたち」「アメリカン・フィクション」「キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン」です。私もいくつか観ました。そう言われるとそんな気がします。
そこで2024年版「デートピア」は白人懺悔のフォーマットで行う事が決定します。デートピアでは散々な事が次々起り、出演者は視聴者にSNSでおもちゃにされます。
優勝者は最後に分かるのかと思いきや、著者が簡単に明かします。Mr.東京こと井矢汽水(いやきすい)、ニックネームは「キース」です。
その前に、ジェンダーバランスの是正処置を取るため、追加ルールが執行されます。船でやってきたのは多様性のある15名です。
そのメンバーの中にキースの幼馴染みモモが偶然にも混ざっていました。Mr.東京ことキースを「おまえ」と呼ぶ語り手はモモでした。でも全部モモでは無く、もうひとつの視点があります。神の視点かもしれませんが、ちょっと分かりません。
ここからモモのキースとの思い出語りになります。それはキースが中三、モモが中二から始まり、とても際どく暴力的で、アンダーグランドな世界です。モモは追跡(トラッキング)と言いますが、まるで空の上から見下ろすようにキースの人生を語ります。
キースは意志を持たない風船のような印象で、行いはとても暴力的なのに、どこか他人事のようです。
話しはあちこちに広がり、ついていくのが大変です。たくさんの人種、ミックス、性的指向が登場し、白人の優越感や植民地主義、親子関係も語られ、資本主義に最近のパレスチナ問題も登場します。とにかく話題が目まぐるしく変わります。
キースのいるラグーンにミスユニバースが何気なく登場し、声をかけます。そこにマルセルとモモもやってきます。現時点でモモは「おまえ」呼びできなくなっていることを理解します。
唐突に1963年フランスがポリネシアに核実験のために設立した太平洋実験センターの話しにたどり着きます。その時フランス兵は現地人女性を妊娠させ子どもを産ませ、任期が終わるとフランス兵は皆帰ってしまったとか。どこの国の基地の近くにもそういう問題があります。
なぜミックスの子が可愛いのか?現地従業員のマルセルが答え、ミスユニバースも話しに加わります。モモは父親が日本人で母親がポリネシア系フランス人です。
ミスユニバースが語る白人の血筋についても、彼らはそう考えているのかと知りました。まだまだ恋愛リアリティショーに撮影は続きます。
薄い本ですが、内容はたっぷりあふれ出すくらい詰め込まれていて、一気に読み切るのがおすすめです。
著者 安堂ホセ
発行 株式会社河出書房新社
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