本『「何回説明しても伝わらない」はなぜ起こるのか?』日常生活を真面目におくることがコミュニケーションの達人になる一番の近道のようです。

認知科学、心理学の先生が書かれた本「何回説明しても~」が最近売れているということで手に取ってみました。

私は若い時「何言ってるか分からない」と言われたことがあり、人に何かを説明するのが大の苦手でした。心療内科の先生に「ハウツー本は役にたたない」と言われたのに、やっぱり買ってしまいました。本の帯にこう書いてあります。

間違っているのは、「言い方」ではなく「心の読み方」
読めばコミュニケーションの悩みが軽くなり、周囲との関係性がよりよく変わり始める

なるほど、このを読めばコミュニケーション上手になれるのね!っていうことで、早速読んでみました。

「もしかしたら、私たちは言葉のやりとりを過信しているかもしれません」と、著者の今井むつみ先生は書いています。

「こんなにわかりやすく説明しているのに、どうして分かってくれないの?」とか、
「何度も説明しているのに、どうして分からないの?」という場面があると思います。

解釈の仕方は人それぞれで、話し手と聞き手の思いが一致しているかどうかは、誰でも常に分からないそうです。
こう言われると気が楽になった気がします。でも、これが仕事だと非常に困ることになります。

以前働いていた会社では、連絡は電話ではなく、何事もメールで行うことになっていました。
後から何かあった時に確認出来るようにするためです。(バカ丁寧なビジネスメールって逆に嫌味ですよね。)
でもこれだけで仕事は完了するわけではありませんし、日常生活は全て対面です。

どうすればいいのかなと考えた時に、はたと気がつきました。正しくは、「言い方」ではなく、相手が理解しているか、伝わっているか、自分が気付くことなのだと。

人の記憶がいつの間に変わってしまうことは経験上知っています。例えば、自分で転んだのに、いつの間にかひき逃げにあったと言い、状況も事細かに説明します。私が再度聞くとものすごく怒るのです。「私は嘘なんか言ってない!」と。

「「なぜ?」から始まる推測が記憶を書き換える」と、この本に書いてあります。

人は様々なことに対して理由や因果を推測してしまい、ネガティブな感情に紐付く記憶というのは、ネガティブに脚色され、自分の推測があたかも現実のことであるように記憶されてしまうそうです。 

私の知っているケースも、悔しい。から始まって、いつの間にか自分が被害者になったというふうに変化したのだと思います。

人は、自分の都合のいいように、いかようにも誤解するそうです。

いろいろなシチュエーションで認知の仕方が説明されています。

「認知バイアス」「信念バイアス」「メタ認知」「具体と抽象」とか、するすると読み進めましたが、後からさっぱり忘れてしまいました。脳は新しいことを覚えるために、古いことは忘れる仕組みになっているようですが、早くもこの仕組み通りになっています。関心のある方は読んでみてください。

では、どうやったら「言えば伝わる」「言われれば理解できる」が実現できるのでしょうか。

答えは「相手の立場に立つ」だそうです。なんだか当たり前な答えですが、これがとても難しいことなのは理解しました。
おまけに「相手の意図を読む」のは学力も深く関係していると書かれています。えー!?そんなー!?私、ダメだ一生。理由もきちんと書いてありますが、学力はどうにもなりません。

コミュニケーションの達人になる方法が書いてありますが、至極当たり前の事ばかり。真面目に生きることがコミュニケーションの達人になる、一番の近道のようです。

「なんだかこの人、私達と違う」と思っても排除したりせず、相手の立場に立って考え、人に思いやりを持って真面目に生きれば悪い方向にはいかないんだと改めて感じ、そのようにいきたいと思いました。これが良いコミュニケーションのようです。

改めて、この本のタイトルの答えは、「人は自分の都合よく捉える生物なので、誤解されないように自分が努力する。」です。

著者:今井むつみ
発行:日経BP

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