「あしたの少女」

映画

「あしたの少女」を観ました。2017年に実際に起きた事件を元にした韓国映画です。

私の好きな韓国の女優さん、ペ ドゥナさんが主演を務めるということで期待して観にいきました。2部構成になっており、最初は職業高校の学生ソヒのストーリー、次がペドゥナさん演じる刑事ユジンのストーリーになっています。

韓国にも職業高校があるんですね。子どもの時から受験勉強に明け暮れ、皆が大学に行くものというイメージがあったため、普通高校しかないと思っていました。勝手な思い込みで申し訳ないです。

ダンス好きな明るい高校生ソヒは愛玩動物学科で学んでいますが、学校の先生の紹介で学科とは何の関係もない大手通信会社下請けのコールセンターに就職連帯型の現場実習生として働き始めます。コールセンターでの仕事は予想外に厳しく、電話に出ていきなりの罵声に心が傷つきます。ノルマがあり達成出来ないと残業しなくてはなりません。契約書には記載のある成果給も実習生という理由で支払ってもらえません。そして、疲れ切ったソヒは自死を選んでしまうのです。

その捜査をしたのが刑事のユジンです。なぜ自死を選んでしまったのか事件の背景を探っていきます。就業率で教育庁から学校への補助金額が決められる仕組みや、途中で仕事を辞めてしまうと翌年に会社から学校へ求人がこなくなってしまう恐れ。これが実習を辞めたくても簡単には辞められない仕組みになっており、事件の原因なのですが、全員誰も私が悪かったとは言わず他者のせいにします。ソヒの友達は現場実習を辞めたせいで高校も中退しています。学校の先生も仕事の悩みを相談しにきたソヒより来年の求人件数を心配しています。

韓国では「早期就業現場実習」という制度があり、卒業の半年前から就職を前提に働き始めるようで、実際は安価な労働者として扱われていたようです。事件の翌年から3ヶ月に縮小されたらしいですが、その後も事故で男子学生が亡くなっています。学校の勉強しなくていいの?と思いますが、この制度どうなのでしょうか。

刑事のユジンは深く落ち込みます。

印象的だったのが、家族がソヒのことをあまり知らなかった事です。ダンスが好きで高校1年生からダンス教室に通っていたことは両親知りません。自死の前に手首を切って病院に運ばれているのですが、このことを父親は知りません。仕事の悩みなど知るよしも無かったかもしれません。このことを私は責められません。悩み事があっても家族には相談出来ないんです。

86才の母が野口五郎のファンだったこと最近知りました。身近にいても知らないことは知らないですから。

最後はようやく見つけた行方不明だったソヒの携帯から、たった1つ残されていた動画を見つけます。それはずっと練習していたダンスの完成したものです。

このエンディングに涙が止まりませんでした。

#あしたの少女 #韓国映画 #ペ ドゥナ