「朝がくるとむなしくなる」 唐田えりか

映画

5年前、濱口竜介監督の「寝ても覚めても」を拝見し感動しました。
唐田えりかさんの演技が素晴らしく、また次回作見たいなーと思っていたら5年経っていました。

今回の映画は、一人の若い女性が傷ついた心を癒やし立ち直る姿を描いた作品です。爽やかな再出発の映画でした。
石橋夕帆監督が唐田さんを当て書きで脚本を執筆したそうです。

主人公の希(のぞみ)はコンビニでアルバイトをしています。まだ不慣れなようで、たばこの銘柄を略して言う横柄な客に対してオドオドしています。
「ショッポ!」← ショートホープのこと
たばこの種類たくさんあるんだから番号で言えばいいのに!とムカついてしまいます。
職場の同僚はいい人ばかりなのに目を見て話すことが出来ません。人間関係不器用そうです。

希は実家から届いた野菜を横目にカップヌードルで食事を済ませ、毎日むなしさを抱え生きている様子です。
仲のいい友人もいないようで毎日何も起こりません。「わたし一人いなくてもこの世は・・・」と人生諦めています。

そんな日々の中、偶然昔の同級生に再会します。中学時代のクラスメート加奈子(芋生遥)でした。
最初はぎこちない希ですが、加奈子は希に好印象を持っているようで距離を縮めてきます。
私だったら昔の同級生が働いていると知ったら、その店は避けますけどね。

二人は居酒屋に行ったりボウリング行ったりと次第に親密になっていきます。
ある時希は加奈子の実家にお泊まりします。実際の民家を借りて撮影したそうで、実家のにおいが漂ってきます。
古い茶色の柱や壁の色、加奈子の部屋の狭さや古いマンガの単行本が、実家です!と言っている気がします。
希の部屋のグレーで寒そうな感じと真逆です。

そこで希は会社が辛くて辞めたことを打ち明け、生きづらさを涙で告白します。加奈子は「大丈夫」と何度も言い、希を肯定します。
修学旅行の夜や課外授業できたキャンプの夜、非日常の時、つい何か語ってしまうことがあります。
そんな感情に背中を押されたのかもしれないです。

その後、会社を辞めたことを親に言い出せずにいましたが、母親にようやく電話して伝えます。
母親は希にやさしい言葉をかけます。

それほど大きな出来事はないのだけど、淡々と物語は進行し、希を回復させていきます。
「なぜか人をいらつかせる、いらつかせる才能がある」なんて言うけど私だってそうだよ。しょっちゅうミスして怒られてたよ。
未だに仕事でミスしてオロオロしている夢をみるぐらいですから私は。と伝えたいです。

まだまだ24才(主人公が)なんて若いんだから問題なんか何もないよう。と声をかけてあげたい映画でした。

#映画 #朝がくるとむなしくなる #唐田えりか #石橋夕帆